LOGIN最初は美緒も同席して、3人で一緒に話をしていたが、
「もう私抜きで連絡取ってもらっていいから」と言って途中で帰ってしまったので、私は久慈さんと連絡先を交換し、直接連絡を取ることにした。 とりあえず、彼氏のスマホメッセージを撮影していたので、見てもらうことに。 「あ〜コレは……」 「浮気してますよね?」と言うと、 「う〜ん、恐らく! この滑り台のある部屋ってラブホテルのことだろうな」とおっしゃる。 ──やっぱり…… 「こうなったら、証拠の動画を撮るしか……」と、そのメッセージにある日時に、卓人を尾行することにした。 しかし、私が動くとすぐにバレるだろうと、卓人が知らない久慈さんが尾行してくれることになったのだ。 そして、土曜日当日。 美緒は、予定が入っているので、来られないと言うので、 〈分かった! 忙しいのにごめんね。またお願いね〉とメッセージを送った。 土曜日は、基本、卓人も私も仕事はお休み。 2日前の木曜日に、 「あっ俺、土曜日、友達と呑みに行くから晩ご飯は、いらないや」と言われた。 ──!! だよね…… 「そう! 分かった。友達って?」と、一応聞いてみた。 「あ〜大学の時の友達だから、菜月はまだ知らないよな」と言われたので、 「じゃあ、来月の結婚式の日には、会えるね」と言うと、 「あ〜アイツら、どうだったかなあ? 忙しそうだし来れるか分かんないみたいだけどな。だから、土曜日会って来るわ」と、右上を見ながら必死で言葉を探している。 明らかに、嘘だと思った。 右ききの人は、嘘を吐く時、右上を見る! ──嘘に嘘を重ねる 卓人! 1つ嘘を吐くと、また嘘が増えるんだよ それに、もう来月の結婚式は、恐らく無くなるのだろうと、思っていた。 もし、この事実が明るみになれば、きっと私の両親は怒り狂って冷静では居られないと思うから。 久慈さんからも、 「もしもの時の為に、家を出る覚悟と準備だけはしておいてください」と言われた。 更に、夜に呑みに行くと言っていたくせに、当日になって、 「ごめん、朝早くに地方から出て来た奴が居るから、早めに出るわ! 行って来ま〜す」と、卓人は呑気にお昼前に出て行った。 そして…… パタン このドアを閉める音を聞くのも今日が最後になるのかもしれない。 私は、すぐに久慈さんに連絡を入れ、自分の荷物をスーツケースにまとめた。 もし違ったとしても、少し頭を冷やす為に、実家に帰ろうと思っていたからだ。 どうか、違いますように…… ほぼ確定だと思いながらも、まだ僅かでも、卓人を信じたい! という気持ちが残っていた。 自然に涙が溢れ落ちた。 ──この3年間は、なんだったんだろう テーブルの上に、婚約指輪を置いた。 もし、違ったら、取りに戻ろう! でも、浮気が事実なら、このまま結婚する気になんてなれない! 久慈さんからは、朝に連絡が入っていた。 〈今日、よろしくお願いします。大丈夫ですか?〉 〈はい、ありがとうございます。大丈夫です。こちらこそ宜しくお願いします〉 お昼前には、卓人が出て行くことを告げた。 なので、部屋を出て行ってすぐに連絡すると、 〈了解! 尾行開始します!〉と連絡をくださっていたので、後で合流することにした。 荷物を持って出て、駅のコインロッカーに預けた。 そして、久慈さんに現在地を教えて頂いて、電車に乗って合流することに…… すると、久慈さんから、 〈コンビニに入りました〉と連絡が入ったので、急いだ。 駅から数m歩いたコンビニに居るようだ。 その近くで、久慈さんと合流。 「すみません。遅くなりました」 「いや、大丈夫! 恐らく相手と待ち合わせだと思うんだけど……」と探偵バリの尾行。 ──慣れてる? 探偵経験有りなの? 「あっ、出て来た!」 コンビニの方を見ると、卓人が店先でキョロキョロ、誰かを待っているようだ。 見つからないように、私には背を向けさせて、カップルのフリをして、久慈さんがスマホで撮影しながら見てくださっている。 「来た! えっ!」 久慈さんの顔色が変わった! 思わず私も振り返って見てしまった。 そこに現れたのは…… 卓人に手を振りながら近づく女、 それは、まさかの美緒だった。 「えっ?」 「どういう事だ?」 「どうして?」 久慈さんは、動画を撮り続けてくださった。 私は、ショックでカラダの力が抜けながらも、全てを見ないと……と、それを凝視していた。 ショックからどんどん怒りへと変化していった。 2人はまず、落ち合いウィンドーショッピングを楽しんでいる様子。 ──何? 卓人のあの笑顔…… そして、カフェに入り昼食を済ませるようだ。 ──妙に馴れ馴れしい、いったいいつからなのだろう その後、メッセージにあった通り、滑り台のある部屋があると思われるラブホテルへと向かった。 ──やっぱり事実だったんだ…… 久慈さんがバッチリ撮影してくださった。 入る前に止めることも出来たのだが、余りにもショックで、気持ち悪くて私は動けなくなってしまった。 「どうしますか? 止めましょうか?」 「いえ、もういいです。出て来たところで」と言っていた。 一旦泳がせて言い訳出来ないように出て来た所を撮ってもらうことにした。入る前に止めると、きっと『何もしてないよ!』と言いかねない。 その時点で私は、「もう、終わりだ」と思っていたのだから…… その待ち時間、恐らく2時間ほどは出て来ないだろうと、ホテルの入口が見えるカフェに入った。 久慈さんが見てくださっている。 ココでも、私には背を向けて座るよう配慮してくださった。 何か食べた方が良いからと食事を勧められたが、食欲などない。 飲み物だけでもと言われ、アイスティーを頼んだ。 久慈さんが気遣ってくださり、サンドウィッチも頼んでくださっていた。 「少しでも食べて」と言われ、1切れ手にした。 野菜だと食べ易いかと思い、トマト、ハム、きゅうりがサンドされている物を選んだ。 「美味しい。こんな時でもお腹は空くんですね」と泣けて来た。 「ウウッ……ごめんなさい」 「いえ、あなたが謝ることなんて何もないですよ。泣きたいだけ泣いてください」 「ウウッウウッ……」 カフェなのに、我慢し切れず、思わず涙を流していた。 一緒に居る久慈さんが、冷ややかな目で見られるのに、お構いなしに、ハンカチを手渡してくれる。 久慈さんの優しさに余計、涙が溢れた。 「アイツら、マジで許さねー! ただで済むと思うなよ!」と怒ってくださっている。 「どうしてだろう?」と呟くと、 「最初は美緒も同席して、3人で一緒に話をしていたが、 「もう私抜きで連絡取ってもらっていいから」と言って途中で帰ってしまったので、私は久慈さんと連絡先を交換し、直接連絡を取ることにした。 とりあえず、彼氏のスマホメッセージを撮影していたので、見てもらうことに。 「あ〜コレは……」 「浮気してますよね?」と言うと、 「う〜ん、恐らく! この滑り台のある部屋ってラブホテルのことだろうな」とおっしゃる。 ──やっぱり…… 「こうなったら、証拠の動画を撮るしか……」と、そのメッセージにある日時に、卓人を尾行することにした。 しかし、私が動くとすぐにバレるだろうと、卓人が知らない久慈さんが尾行してくれることになったのだ。 そして、土曜日当日。 美緒は、予定が入っているので、来られないと言うので、 〈分かった! 忙しいのにごめんね。またお願いね〉とメッセージを送った。 土曜日は、基本、卓人も私も仕事はお休み。 2日前の木曜日に、 「あっ俺、土曜日、友達と呑みに行くから晩ご飯は、いらないや」と言われた。 ──!! だよね…… 「そう! 分かった。友達って?」と、一応聞いてみた。 「あ〜大学の時の友達だから、菜月はまだ知らないよな」と言われたので、 「じゃあ、来月の結婚式の日には、会えるね」と言うと、 「あ〜アイツら、どうだったかなあ? 忙しそうだし来れるか分かんないみたいだけどな。だから、土曜日会って来るわ」と、右上を見ながら必死で言葉を探している。 明らかに、嘘だと思った。 右ききの人は、嘘を吐く時、右上を見る! ──嘘に嘘を重ねる 卓人! 1つ嘘を吐くと、また嘘が増えるんだよ それに、もう来月の結婚式は、恐らく無くなるのだろうと、思っていた。 もし、この事実が明るみになれば、きっと私の両親は怒り狂って冷静では居られないと思うから。 久慈さんからも、 「もしもの時の為に、家を出る覚悟と準備だけはしておいてください」と言われた。 更に、夜に呑みに行くと言っていたくせに、当日になって、 「ごめん、朝早くに地方から出て来た奴が居るから、早めに出るわ! 行って来ま〜す」と、卓人は呑気にお昼前に出て行った。 そして…… パタン このドアを閉める音を聞くのも今日が最後になるのかもしれない。 私は、すぐに久慈さんに連絡を入れ
「卓人〜! ゴミだけ出して行ってくれる?」 「おお〜分かった! じゃあ俺、先出るわ」 「うん、気をつけてね〜」 「おお」 バタン ドアが閉まる音に、ぎゅっと胸が締め付けられて切なくなる。 ──どうして先に行くかなあ〜 以前は、ずっと一緒に出勤してたのになあ〜 「あ、私も早く支度しなきゃ」 堀田菜月28歳 会社員(商品開発職) 先に玄関から出て行ったのは、 中嶋卓人28歳 会社員(営業職) 私たちは、同じ会社の同期で、3年前から交際している。 入社当初は、同期の1人という認識しかなかったが、同期会で何度も会ううちに、意気投合したのだ。 2年付き合ってから同棲を始めて1年が過ぎようとしている。 1年前に、ようやく結婚する意思を固めたのか、プロポーズされ、お互いの親への挨拶も済ませ、 来月、婚姻届を提出して結婚式を挙げる。 しかし、結婚間近だというのに、最近、卓人の行動に違和感を覚え始めたのだ。 マリッジブルーなのか? 女性だけでなく結婚前の男性にもあるようだ。 ただの気の迷いかと思っていたが、どうも女の影が見え隠れしている。 そのせいで、私は色々詮索するようになってしまった。 今までなら卓人のスマホは、常にテーブルの上に置きっぱなしで、スマホ画面が見えるように上向きに置いていたのに、わざわざ下を向けて画面が見えないように置くようになった。 それに、最近ではバスルームにも、トイレに行く時もどこへ行くにも片時も肌身離さずポケットに入れて持ち歩くようになっている。 明らかに怪しい行動。 いくら鈍感な私でも気付く。 ある日、卓人がスマホを手に持ったまま、リビングでウトウトし始めた。 その時に、見えてしまったスマホの画面! 誰かとのメッセージのやり取りだ。 最初は、驚いて手が震えたが、それを私は冷静に自分のスマホで写真に撮っていた。 相手は、A会社Mさんという名前にしているようだ。本当かどうかは、分からない。 〈今度は、いつ会える?〉 〈土曜日なら大丈夫よ〉 〈じゃあ、又滑り台のある部屋に行こうな〉 〈また真っ裸で滑る?〉 〈もちろん! 気持ちいいからな 笑〉 と言うやり取り。 ──何これ? ラブホテル? 気持ち悪い! 私とは、そんなラブホテルの部屋に行ったことなど